ももたろう ~ ある子どものいない夫婦の老後成功譚

子どものいない夫婦をめぐる人間模様。当事者とその周囲の心のうち。

昔話『ももたろう』であっても、子どものいない夫婦当事者である私が一番気になるのはそこんとこです。

ももたろう

村社会で疎外感を感じる子どものいない夫婦

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

この老夫婦には子どもがいなかったので、長年ふたり暮らしでした。

ふたり暮らし
その日もいつも通り、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

村の他の家では、そういう仕事は子や孫の世代の人たちがするもので、おじいさんおばあさんは引退しているのが普通でした。

そのため、「あの家は子どもがいないから、おじいさんおばあさんがいつまでたっても引退できない子どもがいなくて気の毒なもんだ。」となかば憐れまれ、なかば軽蔑されていました

そういう目で見られるのが辛かったおばあさんは、他の若い人たちとは離れて、川の上流で一人で洗濯をしていたのでした。

奇跡的に子どもに恵まれて大喜びの夫婦

いつも通りおばあさんが川で洗濯をしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな桃が流れてきました。
もも
桃、とりわけ不自然なほど大きな桃が流れてくるなんてどう考えてもおかしいけれども、その時は何だかこれを逃してはいけない気がして、おばあさんは大きな桃を拾い上げて、家に持ち帰りました。

その桃を見ておじいさんもびっくりしましたが、とても新鮮でおいしそうだったので、まあ食べてみようじゃないか、ということになりました。

そして、おじいさんとおばあさんがふたりがかりで桃を切ってみると、なんと中から元気の良い男の赤ちゃんが飛び出してきました。

子どものいなかったおじいさんとおばあさんは、大喜びです。

もう楽しいこともない、老いて死んでいくだけだ、でも連れ合いより先にいくのは、残された方のことを考えるとしのびない、うっすらとそんな思いを心のうちに抱える毎日だったのです。

まさかこの年でこんな形で子宝に恵まれると思わんかった、これは奇跡じゃ!神様からの贈り物じゃ!

おじいさんとおばあさんは桃から生まれた男の子を「桃太郎」と名付けました。

村人たちは、桃太郎誕生のいきさつを聞いてものすごくびっくりしました。

いろいろ勘ぐる人たちもいて、いろんな噂が村中を駆け巡りました
それでもほとんどの村人たちは、おじいさんおばあさんのもとに桃太郎がやって来たことを純粋に喜んでくれました

ももたろう、別格視されて超マイペースに育つ

桃太郎はすくすく育って、やがて強い男の子になりました。

桃から生まれて子どものいない老夫婦に育てられていたことから、桃太郎は村では別格視されていて、他の子どもたちと一緒に遊ぶことはあまりなく、山の動物たちが遊び相手でした。
イヌ
桃太郎は動物たちと会話できる、しかも動物たちはみな桃太郎を兄のように慕っている、という噂がまことしやかに語られていました。

村人たちも、桃から生まれたあの桃太郎ならそういうこともあるだろう、と思うのでした。

桃太郎もひょうひょうとしたものでした。

ももたろう、鬼退治に ~ おじいさんおばあさん、村人、友達はその時?!

そんなある日、桃太郎が言いました。

「ぼく、鬼ヶ島に行って、悪い鬼を退治してきます!」

その言葉を聞いて、おじいさんとおばあさんは大いに動揺しましたが、なんだか来るべき時が来たような気がしました

近年、鬼ヶ島から悪い鬼たちがやって来て村々を荒らしまわり、宝物やごちそうを略奪していくようになっていたのでした。
鬼たちはとても凶暴で、お上も村人たちもなすすべもなく、息をひそめるようにして生活していました。
鬼
桃太郎がうちに来たのは、この時のためだったんじゃ。鬼退治の英雄、桃太郎の養育がこの手に委ねられたのはなんと幸せなことじゃろう!

おじいさんとおばあさんは思いました。

うちが子どもに恵まれなかったのは、この特別な役割のためだったんじゃ!

おじいさんとおばあさんは、桃太郎の勝利を確信しました。

桃太郎は、一番の好物であるきび団子をおばあさんにリクエストしました。
日帰りで勝てると思っていたので、保存食など不要だったのです。

そうしておばあさんにきび団子を作ってもらうと、桃太郎は鬼ヶ島へ向かって家を出ました。

桃太郎が鬼退治に出かけるのを見た村人たちの中には、「がんばって!」と言う人もいれば、「一人では厳しいよ、やめといた方がいいよ!」と言う人もいました。
「桃太郎ならきっとやってくれる!」という人もいましたが、「いやいや、いくら桃太郎でも鬼退治は難しいだろう」という人もいました。

桃太郎を真剣に止めようとする人は誰もいませんでしたが、自分も行く!という人もまた一人もいませんでした。

桃太郎はそんなことは全然気にしませんでした。
というのも、あてがあったからなのです。

桃太郎は、旅の途中で、イヌに出会いました。
「桃太郎さん、どこへ行くのですか?」
「鬼ヶ島へ、鬼退治に」
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つくださいな。お供しますよ」
イヌはきび団子をもらい、桃太郎のお供になりました。
イヌ
そして、こんどはサルに出会いました。
「桃太郎さん、どこへ行くのですか?」
「鬼ヶ島へ、鬼退治に 」
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つくださいな。お供しますよ」

そしてこんどは、キジに出会いました。
「桃太郎さん、どこへ行くのですか?」
「鬼ヶ島へ、鬼退治に」
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つくださいな。お供しますよ」

そんな簡単にお伴になるか普通?しかも動物やし!と思いますよね。

でも、イヌ、サル、キジは桃太郎の子ども時代からの遊び友達で、桃太郎はいわばガキ大将。
昔から桃太郎を敬愛し、絶大な信頼を寄せていた彼らが桃太郎の鬼退治にお伴するのは、自然な流れだったのです。

ももたろう、あっけなく鬼退治

こうして、イヌ、サル、キジの仲間を手に入れた桃太郎は、ついに鬼ヶ島へやってきました。
ももたろう
鬼ヶ島では、鬼たちが近くの村から盗んだ宝物やごちそうをならべて、酒盛りの真っ最中です。
鬼たちは、向かうところ敵なしの自分たちに襲い掛かってくるものがいるとは夢にも思わず、見張りもなく油断しきっていたのです。

「みんな、ぬかるなよ。それ、かかれ!」

桃太郎がこんな簡単な指示を出すだけで、イヌ、サル、キジは自分たちのすべきことがわかったのでした。

イヌは鬼のおしりにかみつき、サルは鬼のせなかをひっかき、キジはくちばしで鬼の目をつつきました。 桃太郎も、刀をふり回して大暴れです。

とうとう鬼の親分が、 「まいったぁ、まいったぁ。降参だ! 助けてくれぇ!!」 と、手をついて謝りました。

桃太郎は宝物を取り返して、鬼の親分に二度と人里にやって来て略奪しないことを約束させました。

ももたろうの凱旋、そして子ども+富+名声を手に入れた老夫婦の感慨

桃太郎とイヌとサルとキジは、鬼から取り上げた宝物を荷車に積んで、元気よく家に帰りました。

おじいさんとおばあさんは、桃太郎の無事な姿を見て大喜びです。

やっぱりうちの桃太郎はやってくれた!

桃太郎は村人たちに、「あなたたちの宝物を取り返してきました。さあ、お持ち帰りください。」と言いましたが、
村人たちは、「いやいや、桃太郎さん、あなたは私たちの恩人です。その宝物はあなたが受け取ってください。」と言って宝物をみんな桃太郎にあげました。

あの凶暴な鬼たちをあっさり倒すなんて、桃太郎はやっぱり半分人間じゃないのかもしれない、そもそも桃から生まれたんだし!と思うと、村人たちは少し桃太郎のことが怖かったのです。

とはいえ村人たちも鬼の恐怖から解放されて大喜びで、桃太郎のような息子をもった老夫婦を幸せ者と言いました

おじいさんとおばあさんは、桃太郎がわが子になってくれただけで感激なのに富と名声まで手に入って、人生何がどうなるか最後までわからないもんだ、と思ったのでした。

そして三人は、宝物のおかげでいつまでも幸せ暮らしましたとさ。
oshimai

あとがき

私はいったい何が言いたかったんでしょうか。

作家がよく言う「登場人物たちが勝手に動く」みたいな感じで熱中して書いてしまいました(笑)

なんかあとがき書くの難しいですねー。作家みたいに誰か他の人に書いてもらいたいかもです。

あ、でも、それもちょっと怖い!
あえて言葉にしなかった部分を文章化されてしまうと・・・。

ブログ談義「『ももたろう』のお話をさらに読みやすく魅力的にするには?」というものがありまして、それでこの記事を書いてみました。

で、ごりらさんの『ももたろう』がやばいです。怖い。そしておもしろい。

たった1個のきびだんごで従業員に鬼と死闘までさせた桃太郎の話。 #newmomotaro

ジョージ・オーウェルの『動物農場』を連想させます。

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2015年11月17日レクタングル(大)
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