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湊かなえ原作ドラマ『リバース』の感想

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湊かなえ原作ドラマ『リバース』あらすじ

藤原竜也演じる主人公(深瀬)大学時代の親友(広沢)が、ゼミの同期5人で出かけた大学の卒業旅行で亡くなってから10年後。

4人はそれぞれ、仕事や私生活に問題を抱えている。

武田鉄矢演じる退職刑事が10年前の事故を嗅ぎまわるようになり、4人は当時隠したやましいことについに向き合わざるを得ない状況になる。

結果、広沢の死の真相がついに明らかになり、4人もそれぞれ抱えていた問題に解決を見出し、広沢の不幸な事故を乗り越えて人生を進めていく。

感想:リアリティがあった

湊かなえ原作の『Nのために』というドラマがものすごくおもしろかったので、『リバース』も期待して見始めたのですが、圧倒的に『Nのために』の方がおもしろかったです。

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とは言え、『リバース』はいろいろとリアリティを感じさせられるドラマでした。

事故発見時パニックになり、保身のためにやましいことを隠蔽、しかも・・・

もし自分が同じ状況に置かれたらそうしかねないと思わされ、4人に共感してしまいました。

さらに、そうやって必死で隠して、そのために10年間やましさを持ち続けて、人生がなんか変なことになったのに、結局広沢の死因はまったく別のところにあった、という結論がリアルです。

そういうことってあるある。

未消化の罪を抱えているために、人生がなんか変なことに

4人はそれぞれ罪責感を抱えながらも、いや仕方なかったそんなことぐらいで責められる筋合いはない、いや俺の言動に問題はなかった、と葛藤しています。

葛藤すると、問題がヘビーであればあるほど消耗するので、人生の他の部分に影響が出ることは避けられません。

亡くなってから考えてみると、大切な人のことを案外知らない

主人公は広沢の死因を探る中、やっとできた大切な親友のことを実はあまり知らないことに気づき、彼がどんな人物であったかを、彼をよく知る人たちに会って調べ始めます。

そして、死因にもなった決定的なことを知らなかったことに気づいてしまいます。

ここまで悲劇的なケースでないにせよ、大切な人が亡くなって初めて、案外知らないことが多いことに気づく、というのがリアルです。

ついに判明した死因が、偶然の積み重ね

主人公が広沢の人となりを改めて調べていく中で、10年前には知らなかったことを知るようになり、広沢の人物像がいろいろと描かれていくのですが、結局、死因は悪運が積み重ねられた結果の事故とでも言えるようなことでした。

4人のうちの誰かが悪意をもって直接殺したわけではありませんでした。

それでも主人公はショックで愕然として「俺が広沢を殺した」と言いますが、それとて法律上の犯罪には該当しません。

善意、無知が親友の死に結びついてしまいました。

あっけなさむなしさがありました。

被害者が危うく加害者に

広沢の元彼女は元カレの死の真相を追求するために、最期の旅行で一緒だった元カレの友人たちに身元を隠して接近します。

そして、元カレの友人の一人が元カレの死をおとしめるかのような発言をしたために、とっさに電車が入ってきた駅のホームに突き落としてしまいます。

幸いその友人は電車にひかれず一命をとりとめたのですが、しばらく意識不明でした。

元カレを喪った、ある意味被害者と言える人が、傷ついて怒ることで人を殺しそうになっていましました。

4人は友人の死を乗り越えて人生を進めていくが、死者の人生は終わったままで過去の人に

4人はそれぞれ罪あるものの、法律上の罪はなく、友人の死の真相を解決する中でそれぞれの問題にも向き合い、解決し、新たなステージに人生を進めていきます。

彼らはもちろん友人のことを忘れたわけではないし、友人の死を乗り越えて人生を進めていった方がいいのですが、それでも、死者が生き返ることはなく、若いままで、次第に過去の人になってしまいます。

どうしようもないことなのでしょうが、むなしさがあります。

まとめ

さすが湊かなえ原作だけあって、しっかり嫌な気分になったけど、いろいろ考えさせてもらいました。

「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」作品賞脚本賞を受賞したそうです。

主演の藤原竜也が、自信がなく冴えない男性を巧みに演じていたのが印象的でした。
まぶしそうに目を細めて、肩をすぼめて、言いたいことを言うのにも思いっきりためらう、という様子を出せば、自信がなさそうに見えるんだな、と思いましたよ。

また、俳優の玉森裕太市原隼人三浦貴大戸田恵梨香門脇麦の表情の演技も、動揺、葛藤、苦しみ、悩み、つらさ、やましさ、必死さなどがよく伝わってくるものでした。