「婦人」という言葉がなぜ古臭いのか、探ってみた!

婦人

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市立図書館で「婦人訓」カテゴリーを発見!

思わず2度見、3度見してしまいました。韓流時代劇とか、「女大学」とか、そういう儒教的イメージが横切る、横切る。

家に帰ってぐぐってみると、日本の図書館の多くで使われている図書分類法に「人生訓、教訓」というカテゴリがあって、その下位分類の一つが「婦人訓」であるもよう。

別にその市立図書館のオリジナルではないようです。よかった。

でも、現在ではだいたい「人生訓(女性)」というネーミングになっているみたいです。

普通の本屋さんやブックオフなんかでは、「女性の生き方」とか、「自己啓発(女性)」とかになってるんじゃないでしょうか。女性に本買って欲しければ、「婦人訓」にはしませんよね、なかなか。

そもそも「婦人」という言葉はなんでこんな古臭い感じがするのか?

ぐぐってみたところ、こんな事情が見えてきました。

1985年に国が「婦人」をやめ始めました。男女雇用機会均等法が成立した年のことです。

国が「婦人差別撤廃条約」の「婦人」の部分を「女子」に変更して、「女子差別撤廃条約」と呼ぶことにしたために、

「女子と婦人と女性はどう違うのか」。衆院予算委員会で先週末、用語問答があった。(朝日新聞社説 1985/2/27)

1990年にはさらに、国が使う言葉を、「婦人」をやめて「女性」にすることに決めました。「男女共同参加」から「男女共同参画」に変わったのもこの時です。

朝日新聞では、「婦人」の登場回数のピークは1989年。

国が動いたということは、その前から社会全体の空気が「婦人」をやめようという感じになっていたのでしょうね。子供だったので、そこらへんの感じは記憶にありませんが。

欧米の影響で男女平等の機運が高まる

世間の女性観が変わる

従来使われていた「婦人」という言葉に、古い女性観を表すものというニュアンスがくっつく

男女平等を期して、「男性」の対義語としての「女性」を使おうということになる

とこんな流れが見えてきます。

儒教的女性差別思想といえば思い浮かぶ「女大学」とは?!

さらにぐぐってみたら、青空文庫にある宮本百合子の『三つの女大学』がおもしろかったです。

1940年3月に出版された文章です。

その前年にはヨーロッパで第2次世界大戦が勃発し、同年12月には日独伊三国軍事同盟が締結され、翌年には太平洋戦争に突入していく、そういう時代です。

映画『風と共に去りぬ』がアカデミー賞を受賞し、ジャーナリストの鳥越俊太郎、料理研究家の平野レミ、元総理・現金融担当相の麻生太郎、女優の浅丘ルリ子が生まれた年でもあります。

のっけから上野の図書館の「婦人閲覧室」に行ったと書いてあって、戦前は図書館内が男女別に分かれとったんかいな!と驚きました。

ともあれ、内容は次のような感じです。

『女大学』は貝原益軒という江戸時代の儒学者(養生訓を書いた人)が書いた本で、「女は男より劣るから、一生男に服従せい」という内容。

明治時代になってこれに徹底的に反論したのが「天は人の上に人を造らず」の福沢諭吉で、「男女は平等や、こんなもんで男のわがままを許したらいかん!」という内容。

ところが1938年に『新女大学』を世に出した菊池寛は、「夫はもっと妻を尊重するべし。妻は夫に尊重されるためには夫迎合して服従すべし」とか言っちゃってるけど、

女はそんなにまでして結婚を守らなければならないのだろうか。女の一生とは何であろう。

福沢諭吉は新しかった、若い世代はその新しい価値観でいきたいよね!

宮本百合子の文章、格調高いな~。

そういえば、「女子」という言葉もあった!

ちなみに、福沢諭吉は「女子」という言葉を使っています。
「男子の本懐」におけるような「男子」の対義語としての「女子」という感じです。

もし自分が「婦人」にカテゴライズされたら?!

図書館に「婦人訓」カテゴリがあるだけなら、「なにこれw」ってなるだけですが、もし誰かに「こんど婦人サロン作るから入りませんか?」と言われたら、古い女性観を感じてお断りすると思います。絶対に面白くなさそう!

もし「こんど婦人部会つくるから、入ってください」とか言われたら、違和感と嫌悪感いっぱいで、全力で逃げると思います。高齢者中心で、見下されながらタダ働きさせられる匂いしかしない!

参考にさせてもらったのはこちら ↓
日本女性財団「婦人」と「女性」
http://jawe2011.jp/cgi/keyword/keyword.cgi?num=n000017&mode=detail&catlist=1&onlist=1&shlist=1

徐 微潔『女性標示語「婦人」の変遷ー65年間の新聞で見るその推移ー』

「婦人」が「女性」に変わったいきさつ → 内閣府男女共同参画局
http://www.gender.go.jp/about_danjo/law/kihon/situmu1-3.html#id2

宮本百合子『三つの女大学』
http://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3108_10699.html