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子宮頸がんワクチン問題の原因は、精神疾患に対する烙印・偏見


医師・ジャーナリスト村中璃子さんが、2017年のジョン・マドックス賞を受賞したことから、子宮頸がんワクチン問題に関する話題を見かけることが多くなりました。

ジョン・マドックス賞とは、困難や敵意に直面しながらも、健全な科学と公益に関する科学的証拠を促進させた個人の業績を表彰する賞です。

The John Maddox Prize recognises the work of individuals who promote sound science and evidence on a matter of public interest, facing difficulty or hostility in doing so.

John Maddox Prize - Sense about Science
The purpose of the John Maddox Prize is to: Recognise individuals who stand up for sound science and evidence, advancing the public discussion of difficult topi...

村中璃子さんは、日本で子宮頸がんワクチンの接種が差し控えられるようになったいきさつを取材しました。

村中さんの主張は記事と受賞スピーチから知ることができます。

ジョン・マドックス賞受賞スピーチ「10万個の子宮」

特集:子宮頸がんワクチン問題

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子宮頸がんワクチン問題の経緯

国が定期接種に指定するも、「副反応」により接種推奨ストップ

定期接種に指定

重篤な副反応の報告、報道が相次ぐ

国が接種勧奨をストップ

接種する人が激減
日本政府、子宮頸がんワクチン被害に対する国家賠償請求訴訟を起こされる

子宮頸がんワクチンは重篤な副反応をもたらすという恐れにより、国が接種を勧めるのをやめました。

「ワクチンによる副反応」派と「精神疾患」派の対立

しかし、村中さんは、子宮頸がんワクチンの副反応とされる症状は、ワクチンが原因ではなく、精神疾患だとします。

脳波に異常のない「偽発作」に代表されるように、小児科医たちは思春期の子どものこういう症状は、子宮頸がんワクチンが世に現れる前からいくらでも見てきたと言った。厚生労働省の副反応検討部会も、副反応だと訴えられている症状は、ほぼ間違いなく身体表現性のものだろうという評価を下していた。

ジョン・マドックス賞受賞スピーチ全文「10万個の子宮」|村中璃子 Riko Muranaka
Riko Muranaka The John Maddox Prize Speech 2017.11.30, London 世界では毎年、53万人が子宮頸がんと診断され、27万の命が失われている。 現在では子宮頸がんを防ぐワクチンがあり、世界130カ国以上で使われているというのに。   しかし、近い将来、ワクチン接種率...

子宮頸がんワクチンの副反応とされる症状は、精神疾患の一種、身体表現性障害であると科学的に結論づけられた、という話です。

身体表現性障害とは、身体化障害、転換性障害、疼痛性障害、心気症、身体醜形障害などを総称した症候群である。その診断基準として、①一般身体疾患を示唆する身体症状が存在するが、一般身体疾患、物質の直接的な作用、または他の精神疾患によっては完全に説明されない、②その症状は臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の領域における機能の障害を引き起こす、③身体症状は意図的でない。つまり、身体面で「器質的機能的な異常が見当たらない」のに、身体症状を訴え続ける精神障害である。機能的・器質的異常が存在する心身症とはその点で明確に区別される。

守口善也 身体表現性障害 脳科学辞典 https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E8%A1%A8%E7%8F%BE%E6%80%A7%E9%9A%9C%E5%AE%B3

科学的には「精神疾患」とされるも、科学界にも「ワクチンの副反応」派が出現

ところが、二つの問題が生じた、と村中さんは言います。

ひとつは、政府がサイエンスよりも感情を優先した政策を取ったこと。もうひとつは、わざわざ病名まで作って、子宮頸がんワクチンによって引き起こされたという薬害を唱える医者たちが登場したことだ。

ジョン・マドックス賞受賞スピーチ全文「10万個の子宮」|村中璃子 Riko Muranaka
Riko Muranaka The John Maddox Prize Speech 2017.11.30, London 世界では毎年、53万人が子宮頸がんと診断され、27万の命が失われている。 現在では子宮頸がんを防ぐワクチンがあり、世界130カ国以上で使われているというのに。   しかし、近い将来、ワクチン接種率...

その結果、

子宮頸がんワクチンの被害を訴える人たちが、日本政府とワクチン製造企業を相手取った集団提訴を予告する記者会見を行った。日本政府は、積極的接種勧奨の「一時的」差し控えを継続。そして、「一時的」が3年にも及んだ昨年7月27日、日本政府は世界初の子宮頸がんワクチンによるものだという被害に対する国家賠償請求訴訟を起こされた。

村中さんは、薬害の証拠とされるマウス実験はねつ造だ、という記事を書いたところ、その実験結果を発表した医師から訴えられます。

また、被害者団体の活発な活動により、村中さんの著作はメディアに掲載されにくくなったそうです。

日本では国家賠償請求訴訟が終わるまでには10年を要すると言われる。また、訴訟が終わるまで、接種再開を決断できる首相や官僚は出ないだろうとも言われる。

そのため、その間に子宮頸がんによって10万人の子宮が失われてしまうだろう、と村中さんは言います。

一方、私の古巣でもある、世界保健機関(WHO)のワクチンの安全性に関する諮問委員会GACVSは、今年7月に出した子宮頸がんワクチンに関する最新の安全性評価をこう結んでいる。
“科学的分析とは裏腹に、世界では症例観察に基づく誤った報告や根拠のない主張が注目を集めている。合理的根拠に乏しい主張によって接種率の低下する国が増え、実害をもたらしていることに対し、委員会は引き続き懸念を表明する。今後もモニタリングを続け、大規模データの解析を通じてワクチンへの信頼を維持していくことが大切だが、その過程で結論を焦り、文脈を無視した、確たるエビデンスのないアーチファクト(二次的な事象)が観察されることがある。これこそが「挑戦」だ”

ジョン・マドックス賞受賞スピーチ全文「10万個の子宮」|村中璃子 Riko Muranaka
Riko Muranaka The John Maddox Prize Speech 2017.11.30, London 世界では毎年、53万人が子宮頸がんと診断され、27万の命が失われている。 現在では子宮頸がんを防ぐワクチンがあり、世界130カ国以上で使われているというのに。   しかし、近い将来、ワクチン接種率...

「ワクチンによる副反応」派と「精神疾患」派のどちらにも、精神疾患に対する偏見があるんとちゃうか

「ワクチンによる副反応」派の中には、身体表現性障害だと言われると、怒る人がいるそうです。身体表現性障害なんてひどい!ということです。

それって、身体表現性障害をワクチンによる副反応よりも下に見る気持ちがありませんか?

ちなみに、身体表現性障害は、わざと症状を出しているわけでも、気のせいでもありません。

もしくは、「ワクチンによる副反応じゃなくて、身体表現性障害だと思われます。」と言った医師に、差別的なニュアンスを感じたから怒ったのかもしれません。

医療従事者が精神疾患の患者を蔑視する

私が医療系の専門学校で耳鼻咽喉科の医師(大学病院勤務)の講義を受けた時のこと。

のどの具合が悪いという患者さんの半分は精神的な問題だそうです。
そして、医局ではそのような患者さんたちのことを、「ぷしってる」と表現するそうです。

「psyってる」つまり、psycological(心理学的)をもじった表現です。

精神的な問題を抱えることを揶揄するニュアンスを感じました。

また、精神的な問題が身体的に表現される病気を患っていると、メンタル関係なく純粋に身体的な病気で困っていても、精神科・心療内科じゃない科(身体科)の医師に真剣に取り合ってもらえないリスクがあります。

医療従事者の偏見ゆえに、「身体表現性障害」と診断されることはリスクになり得るのです。

世間が精神疾患の人を蔑視する

家族、友人知人、これから出会う人々が、身体表現性障害と聞いて軽蔑しない人ばかりだとは思えません。蔑視してくる人も多いでしょう。

いの一番に、そもそも自分はそんなんじゃない!と思うかもしれません。

そうすると、「ワクチンによる副反応じゃなくて、身体表現性障害だと思われます。」と言われて、すんなりそれを受け入れられるでしょうか?

まとめ

身体表現性障害、心身症の人を軽蔑するのをやめよう!

心身症というのは、メンタルが原因で実際に体が病気になってるその症状のことです。

身体表現性障害と似たようなものだと思います。

現在の科学的知見では、ワクチンによる副反応とは解明できない何かの機序があるのかもしれませんが、「ワクチンによる副反応」とする人の一部は身体表現性障害かもしれません。

その場合、身体表現性障害という精神疾患を蔑視する風潮が完全に少数派になれば、その人は、「身体表現性障害である」ということで存在できるようになるのではないでしょうか。

そして、的外れな治療を受ける危険がなくなり、快復につながるといいなと思います。