サブリースはトラブルになるケースが多く、
国民生活センターが機関誌で「不動産サブリース問題の現状」という特集を組んだり、サブリース被害対策弁護団が結成されたりしています。
2016年初頭にこの記事を書いた後、サブリースの問題が大きくクローズアップされる事態が発生し、国が注意を喚起することとなりました。
国土交通省では、消費者庁と連携し、サブリースに関するトラブルの防止に向けて、サブリース契約を検討されている方
及びサブリース住宅に入居する方に対しての注意喚起のため、主な注意点等を公表しました。
また、クローズアップ現代でもサブリースの問題が取り上げられました。(2015年5月11日)
こんな話でした。
サブリース契約をしてしまった老夫婦の悲劇
高齢の農家が広すぎる農地を耕しきれなくなって、固定資産税と相続税について悩んでいたところ、大手不動産会社が現れてこんな話をもちかけてきました。
「うちでアパートを建てると、うちが一括借り上げして30年間家賃収入を保証しますよ。」
税金対策になるし、少しでも老後資金ができるかと思った老夫婦は、
1億円のローンを組んでその大手不動産会社に支払い、アパートを建てました。
ところが周りにもサブリースのアパートが次々と建てられ、入居者の数は徐々に減っていきました。
それでも家賃収入は保証されているので、最初は困ることはありませんでした。
ところが、そんな中、
突然会社から家賃保証の金額を下げたいと告げられました。
老夫婦にとっては寝耳に水でしたが、実は契約書では、
保証するとしていた家賃収入は、10年を経過したあとは2年ごとに改定するとなっていたのです。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3648_all.html(リンク切れ)
サブリースとは
そもそも、サブリースとはいったい何なんでしょうか。
ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみさんがわかりやすく説明しています。
不動産投資で一番のリスクは入居者が集まらず、空室が増えてしまう事だ。そのリスクを避けるためにあるものが家賃保証だ。これは不動産会社がアパートを一括で借り上げて、入居状態にかかわらず一定の家賃を家主に払う、という契約だ。
不動産会社はどこで利益を出すのかというと、まずは建築を請け負って売り上げを確保する。加えて大家から借り上げたアパートを入居者に貸し出す。これをサブリース(また貸し)と呼ぶ。不動産会社は入居者から受け取った売り上げを100%家主に払うわけでは無く、手数料として一部を受け取るような形だ。
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なお、アパートだけではなく、一戸建て住宅の場合もあります。
サブリースの期間は、例えば住友林業では、2年~30年です。
サブリース業者は、空室時も保証家賃を大家に支払うわけですが、その資金はどこから出るのでしょうか?
建築費と修繕費を高めに設定し、家賃支払いの免責期間を設けるのではありませんか。
アパート建設業者の収益計算は賃料が相場よりも高く見積もられている場合がほとんどです。
新築のスタート時は、そのくらいの賃料を回収できることもありますが、ずっとは続きません。アパート建設業者は売るのが仕事ですから、高めに見積ものは当然です。
高めに見積もっても違反にならない、という部分もあります。
これは大家さんが一般消費者として見られないからです。大家さんは「賃貸経営者」です。 いち業者として、見られるのです。
暮らしっく不動産「サブリースの落とし穴。 5つの問題点とデメリット。」
https://www.kurachic.jp/column/701/
サブリースのデメリット
家賃保証と言うけれど、周辺地域の相場に応じた家賃改定がある。
2年ごとの更新時に賃料見直しを求めるといった、サブリース業者のリスク負担を家主に転嫁する不利益条項が散見されます。そのため、サブリース業者が長期間の賃料収入を保証すると勧誘して賃貸アパート建築を受注しながら、当初の収支計画が過大に見積もられていたことにより、その後の賃料が大きく切り下げられ、家主は建築時に設定した住宅ローンの返済にも苦慮し、不動産を手放さざるを得ないなどの深刻なトラブル事例もみられるようになってきました。つまり、賃貸業のプロたるサブリース業者は、素人たる家主との情報・交渉力の格差を無視し、さまざまなリスクを家主に押しつけているとも 考えられます。
三浦 直樹 弁護士 国民生活センター「不動産サブリースの問題点」
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201408_01.pdf(リンク切れ)
入居者の募集を開始してから数か月間は、免責期間になっている。
何が免責かと言うと、サブリース業者から大家に対して保証した家賃を支払うことです。
つまり、数か月間は家賃収入なしになるのです。
修繕やリフォームのために高額請求されても断れない
修繕費やリフォーム代は大家が負担します。
そして、サブリース業者が箇所も業者も価格も指定します。
つまり、不要だと思っても断れない上に、割高になるということです。
家賃減額やリフォーム・修繕に応じなければ、契約が解除される
減額後の家賃がローン返済額よりも下回ればローン返済ができなくなるので、家賃減額に応じるわけにはいきません。
また、納得できない高額のリフォームに応じるわけにもいきません。
そこで拒否すると、サブリース契約を解除されるのです。
そうすると、空室を抱えたアパートや一戸建てと住宅ローンが手元に残るだけになります。
さらに、これまでサブリース業者に任せきりだった入居者とのやり取りもすべて自分でこなすか、他の業者にお金を払って委託するしかなくなります。
入居者が家賃を滞納していたり、トラブルメーカーだったりしたら、大変です。
サブリースに関する法律が整備されていないという現状
通常の不動産取引の際には重要事項説明が義務付けられているはずです。
にもかかわらず、なぜデメリットが説明されないまま契約が成立してしまっているのでしょうか。
サブリース契約を結ぶ大家は消費者ではなく事業者であるとされているので、消費者保護が十分に適用されません。
貸主や借主に対する重要事項説明ないし書面交付の違反や各種行為規制の違反に対する罰則や制裁は予定されておらず
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201408_01.pdf(リンク切れ)
だから、重要事項の確認は自己責任なのです。
また、30年もの長期間にわたって家賃収入を保証するのですから、当然不動産会社はそれなりの資金保全措置を講じるべきなのですが、対策は義務付けられていません。
受領する家賃・敷金等の財産の分別管理も法律上の規定ではないために、現実の倒産が生じた場合に確実に保全される保証はありません。
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201408_01.pdf(リンク切れ)
マイナスになるリスクを負って事業や投資をする覚悟がなければ、サブリースに手を出してはいけない
サブリースを検討されるのはプロの大家ではなくて、土地をノーリスクで活用できて、税金対策、相続対策になって、老後資金の足しになる、と思う方が多いでしょう。
しかし、本当にノーリスクなのでしょうか?
あなたとサブリース業者との間には、情報量、交渉力の格差があるのではありませんか?
サブリースでトラブルに巻き込まれたくなければ、それなりの知識と覚悟が必要です。
自分が必ず伝える事は「何千万円も投資をして収入を得るという行為は、新しいビジネスを起こす事と同じです。なので仕事として本気で取り組むつもりならばやっても良いと思います」というアドバイスだ。
無条件に株よりアパート投資の方が安全だと思うような人は、不動産投資を絶対にしない方がいい。投資に必要なセンス、あるいはリスクに関する知識が決定的に不足している。
加えて、リスクをリスクとして認識せずに投資をしているのであれば、それはただキケンというだけの状況だ
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建築費の相場もわからないなら、下手に不動産投資に踏み込まないほうが良いと思います。
暮らしっく不動産「サブリースの落とし穴。 5つの問題点とデメリット。」
https://www.kurachic.jp/column/701/
タダほど高いものはない
うまい話/儲け話には気をつけろ
と昔から世間で言われている通りです。
こちらを参考にさせていただきました。
サブリース被害対策弁護団
http://sublease-bengodan.jimdo.com/
レオパレス訴訟和解のご報告及びサブリース契約をしようと思っている方へ
http://blog.goo.ne.jp/rindou-law-office/e/ce5d75ccf9f7fa74e6083ea97b369b97
アパート建築が止まらない~人口減少社会でなぜ~
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3648_all.html
国民生活センター『国民生活』2014年8月号 特集 不動産サブリース問題の現状
サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!
~トラブルの防止に向けて消費者庁と連携~
https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000166.html
サブリース(家賃保証)には危険がいっぱい!
http://www.11heya-apaman.com/sublease.html
サブリースの落とし穴。 5つの問題点とデメリット。
https://www.kurachic.jp/column/701/