スポンサーリンク

ダニエル・コーエン『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』軽いノリの感想


自分の家計の不安から、「経済って何なんだろう。これから一体どうなっていくんだろう?」という疑問が出てきて、経済の歴史からこれからの世界を考えるという内容の本を読んでみました。

「わしゃ小説しか読まんぞ!」と思ってたのに、ついつい。

経済に関する素養がまるでないので、読むのに時間がかかったけど、とってもおもしろかったです。

どれぐらい素養がないのかというと、高1の時に政治経済の授業が週1回あったような気がする、という程度です。

スポンサーリンク

ダニエル・コーエン『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』内容まとめ

経済学の巨匠たちの説を紹介しつつ、経済の観点から人類の歴史を考察する
というもの。

欧州で大ベストセラーとなり、最も優れた金融・経済学の書籍に贈られる「テュルゴー金融経済学賞」(審査員特別賞)を受賞した

そうです。

「マルサスの法則」で有名なマルサスマルクスアダム・スミスなどの、中学校や高校の教科書に出てきた名前が登場します。

ケインズフリードマンなどの現代のニュースに出てくる名前もあがります。

太平洋のタヒチでは人々は楽園のような暮らしをおくっていたが、これは嬰児の間引き率が高かったからである。

三分の二以上間引きされてたそうです。これはショック。

さて。章立ては次の通りです。

第1部 なぜ西欧が経済発展したのか?-経済成長という”悪徳の栄え”の法則と教訓
第2部 繰り返される経済的繁栄と危機―戦争と平和/競争と恐慌の時代の法則と教訓
第3部 グローバル化/サイバー化する経済と社会―二十一世紀を動かす新たな法則とは?

経済的繫栄とは、”悪徳の栄え”なのか?
経済的繁栄と国際貿易は世界平和を実現しない

パリ政治学院の経済学教授フィリップ・マルタンらの分析によると、
国際貿易は戦争リスクをまったく軽減させないという。
国際貿易により、好戦的な国家は自国の強力なライバル国を安易に攻撃するようになるという。

じゃあ、日本やばいじゃん、と思いました。
少子高齢化は戦争リスクを軽減したりしないでしょうか??
戦争リスク、怖いよ。どうしたらいいんだ。

ヨーゼフ・シュムペーターによると、・・・・・・資本主義のプロセス・・・・・・
不断に古きものを破壊して新しきものを創造して、内部から経済構造を革命化する産業上の突然変異(・・・・・・)の同じ過程を例証する。この「創造的破壊」の過程こそ資本主義についての本質的事実である。

だからこそ、産業社会は脆いのであり、定期的なケアが必要なのだ。産業社会には、“創造”と“破壊”が混ぜ合わさっているので、“繁栄”と“衰退”が交互におとずれる。

従来のやり方が通用しなくなり、親の世代なら大丈夫だったはずの家計が危機に瀕する、っていうような状況が定期的に起こるっていうことですね。

子どもの頃からこの本を読んで心構えしといたらよかったです(まだ出版されてないし(笑))。

第一次世界大戦の原因が繫栄だとすれば、第二次世界大戦は、1930年代の大恐慌の影響下にあったドイツ社会の崩壊によって説明がつく。

資本家階級が社会を「利己的打算によって、氷のように冷たい水の中で溺死させる」マルクス『共産党宣言』

経済学者リチャード・イースタリンの多くの調査からは、お金持ちの社会も、貧しい社会と同様に幸せでないことがわかる。
イギリスの経済紙『エコノミスト』は、19世紀のユーモアあふれる警句を紹介している。
「幸せっていうのは、義理の兄弟よりも、10ドルほど多く稼いていることだよ」。

経済の急成長は、社会的な緊張を緩和する。というのは、誰もが他者に追いつけると、信じることができるようになるからだ。しかし、・・・すでに達成したレベルにもかかわらず、景気が減速すると、この理想は一気に崩れ去る

これは実感しますよねー。
「今の人は恵まれている!」とか言われても、自分が子どもの頃と比べたらさ・・・。

また、次のような興味深いトピックがあります。

産業革命
1929年の世界恐慌
高度経済成長
福祉国家
中国とインド
環境問題(地球温暖化、生物資源、水資源)
金融危機
新自由主義
コンテンツ産業

第15章 非物質的な資本主義と経済法則
1 ニューエコノミー―非物質的商品の生産と収穫逓増の法則

農業生産には収穫逓減の法則が働いたけど、

経済学的な観点からは、非物質的なモノの生産には、収穫逓増の原理が働く。生産者が大きな市場をもつほど、新たなもののコンセプトを開発するコストは回収しやすくなり、生産者の儲けは大きくなる。

こういうことが起こってますよねー。

ざっくりとしすぎな感想

日本の戦争リスクを感じました。あとがきを読むと、翻訳者の林昌宏さんもそのようなことを書かれています。

また、環境問題マジやばいと思いました。成り立たなくなるんじゃ。

あと、まともなレビューが書けない自分の鳥頭に悲しくなりました(笑)
でも、もともと世界史が好きなので、苦手意識のある経済の本も、歴史がらみだと読みやすかったです。