恩田陸の直木賞・本屋大賞W受賞作『蜜蜂と遠雷』感想

コンサートホールに置かれたグランドピアノ

国際ピアノコンクールを舞台に、才能あふれる若者たちが出合い、刺激を与えあう!感動の音楽ドラマ。

ベテラン作家、恩田陸が満を持して世にはなった大作。

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『蜜蜂と遠雷』の内容

四人の出場者を主要登場人物とし、コンクールの進行に沿って、エントリー、第一次予選、第二次予選、第三次予選、本選と、人物と音楽を描き切った小説です。

モデルとなったのは、浜松国際ピアノコンクールです。

四人の描き分けも、演奏される音楽の描写も秀逸で、さすがは恩田陸でした。

描写力がすごい。曲が、それぞれに文章で描写されています。

天才の描き分けってできるんですね。

登場人物のご紹介

主要登場人物

コンクール出場者のうち、次の四人です。

風間 塵 カザマ・ジン 

天才少年。いかにもなイメージ通りの天才。

極度に耳が良い。

それぞれの登場人物の視点から物語が紡がれていくのですが、カザマ・ジン視点はほとんどなくて、内面の描写がとても少なく、カザマ・ジンの天才性、異質性が際立たせられています。

栄伝 亜夜 えいでん・あや

表舞台から遠ざかっていた元天才少女。

亜夜の視点が一番多く、亜夜の変化、変貌が克明に、鮮やかに描かれていて、感動します。

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール

正統派の才能溢れる若きスター・ピアニスト。

ジュリアード音楽院の学生。

音楽の才能に恵まれるのみならず、スポーツマンでビジュアルも魅力的、という全方位型。

高島 明石 たかしま・あかし

28歳の会社員。妻子あり。出場者最高齢。

音大出身で、日本最高のコンクール5位入賞が最高。いわゆる天才ではない。

物語に深みを添える脇役たち

審査員、嵯峨三枝子

ピアニスト。最初に登場する語り手。

審査員、ナサニエル・シルヴァーバーグ

ピアニスト、指揮者、舞台演出家など幅広く活躍。

ジュリアード音楽院の教授。

マサルの師匠で、カザマ・ジンに推薦状を書いた大ピアニスト、ユウジ・フォン=ホフマン(故人)の弟子

コンクールを取材するテレビ記者、仁科雅美

明石の高校時代の同級生

亜夜を支える音大生、浜崎奏

音楽大学学長の次女。

音楽大学の2年先輩で、ヴァイオリン専攻。

調律師、ステージマネージャー、他の出場者たち

課題曲『春と修羅』作曲者の菱沼忠明

第二次予選の課題曲『春と修羅』 宮沢賢治の『春と修羅』をテーマに曲を作曲。

同作品を最もすばらしく演奏した人を選んで、「菱沼賞」を送ることになっている。

『蜜蜂と遠雷』感想

登場人物と一緒に感動して幾度も鳥肌が立ち、泣かされそうになってしまいました。

一番共感したのは、会社勤めをしながらコンクールに出場する、明石でした。もっともアマチュアの音楽ファンに近い立場の登場人物でした。

読む合間に、主要登場人物4人が演奏する曲を、架空の曲以外全部聞いたので、通読に時間がかかったし、コンクールの大変さが臨場感豊かに描かれていたので、まるでコンクールを最初から最後まで鑑賞したかのように、疲れました。

なるほど、恩田さんはこういう音楽の好みなのか、という恩田陸ファンにとっての興味が満たされます。

『蜜蜂と遠雷』を読むと、登場した曲も、他の曲も聞きたくなってしまいます。

『蜜蜂と遠雷』を読む、全曲を聴く、映画で観る

単行本はこちらです。文庫本だと、上下2巻になります。

『蜜蜂と遠雷』をAmazonで探す

CDもあります。恩田陸による後日譚の書き下ろし短編小説が付属しています!その後どうなったか知りたいし、4人のコンサートにも行ってみたいものです。

主人公4人のコンクール演奏曲(全51曲129トラック・収録時間約9時間40分)をそれぞれの登場人物ごと2CDにもれなく収めたCD8枚組のコンピレーション企画です。演奏は、グールド、ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、ラン・ランなど世界的アーティストによる名演奏の数々に加え、協奏曲では世界最高峰のサイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルが参加。各曲の曲目解説も収めたブックレット(全44P)には、恩田陸書き下ろし短編小説「祝祭と掃苔 入賞者ツアー」を所収。

『蜜蜂と遠雷』ピアノ全集[完全盤](8CD)のAmazonページより

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音楽配信サービス「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」には、『蜜蜂と遠雷』で4人がコンクールで演奏した曲、全曲が聴けるプレイリストがあります。

公立図書館などのアカウントがあると、無料で聴くことができたりするので、利用可能な都道府県、市町村の図書館を調べてみてはいかがでしょうか。

2019年10月4日には、映画『蜜蜂と遠雷』が公開されます。はたしてどんな風に映画化されたのでしょうか。魅力的な登場人物たちがどのように描かれたか、気になるところです。

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